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貸倒引当金の設定
得意先の倒産などにより、得意先に対する売掛金や受取手形が回収できなくなることを貸倒れといいます。
この貸倒れに備えて、貸倒引当金を設定します。
貸倒引当金は、資産のマイナスを表す勘定科目で、決算時に設定します。
資産のマイナスなので、貸方に記入します。
そして、貸倒引当金を設定したときの相手勘定として、貸倒引当金繰入を計上します。
貸倒引当金繰入は費用なので、借方に記入します。
貸倒引当金の設定方法として、差額補充法があります。
差額補充法は、貸倒引当金の設定額と期末残高との差額を追加で計上する方法です。
貸倒引当金の設定額は売掛金や受取手形の期末残高に貸倒設定率をかけて求めます。
なお、試験では、貸倒設定率が問題で与えられますので、それを使って計算してください。
仕訳の確認
事例を使って確認しましょう。
【例9-1】を見てください。
【例9-1】
売掛金期末残高¥300に対し、3%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。なお、貸倒引当金残高は¥5である。
貸倒引当金の設定額は、売掛金の期末残高300円に貸倒設定率3%をかけた9円となります。
貸倒引当金の残高が5円なので、貸倒引当金の設定額9円との差額である4円を計上します。
貸倒引当金は資産のマイナスを表す勘定科目なので、貸方に記入です。
また、貸倒引当金繰入は費用なので、借方に記入です。
貸倒れの処理
貸倒れの処理は、貸倒れた債権がいつ発生したものかにより異なります。
前期以前に発生した債権の貸倒処理
前期以前に発生した債権が貸倒れた場合は、前期の決算で貸倒引当金が設定されているので、まず貸倒引当金を取り崩す処理をします。
そして、貸倒引当金の残高を超える金額については貸倒損失で処理します。
仕訳の確認
事例を使って確認しましょう。
【例9-2】を見てください。
【例9-2】
前期の売上にかかる売掛金¥10が回収不能となった。なお、貸倒引当金残高は¥9である。
前期に発生した売掛金なので、この売掛金には前期末の決算において貸倒引当金が設定されています。
なので、まず貸倒引当金を取り崩す処理をします。
貸倒引当金を取り崩すときは借方に記入です。
そして、貸倒引当金の残高を超える金額である1円については、貸倒れ損失で処理します。
当期に発生した債権の貸倒処理
一方、当期に発生した債権が貸倒れた場合は、前期の決算で貸倒引当金が設定されていないので、全額を貸倒損失で処理します。
仕訳の確認
事例を使って確認しましょう。
【例9-3】を見てください。
【例9-3】
当期の売上にかかる売掛金¥10が回収不能となった。なお、貸倒引当金残高は¥9である。
当期に発生した売掛金なので、この売掛金には前期末の決算において貸倒引当金が設定されていません。
なので、全額を貸倒損失で処理します。
問題文に貸倒引当金残高についての記載がありますが、これはダミー資料なのでひっかからないように注意しましょう。
償却債権取立益
前期以前に貸倒処理した売掛金などの債権を回収したときは、償却債権取立益で処理します。
償却債権取立益は収益なので、貸方に記入します。
仕訳の確認
事例を使って確認しましょう。
【例9-4】を見てください。
【例9-4】
前期に貸倒処理した売掛金¥10を現金で回収した。
前期に貸倒処理した債権を回収しているので、償却債権取立益で処理します。
償却債権取立益は収益なので、貸方に記入です。
なお、貸倒引当金や売掛金などの勘定科目は使わないので、注意してください。
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