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1.貸倒引当金の設定
得意先に対する売掛金等の債権は将来現金を受取ることができる権利を意味しますが、得意先の倒産等により実際には回収できないことがあります。この回収できなくなることを「貸倒れ」といい、決算では、時期以降の貸倒れに備える処理を行います。
具体的には、期末の売掛金や受取手形等の債権に対する将来の貸倒見積額を計算し、これを『貸倒引当金繰入』(費用)として処理するとともに『貸倒引当金』を計上します。
【例9—3】
決算において、売上債権の期末残高20,000円に対して、2%の貸倒引当金を設定した。
なお、決算において前期に設定した貸倒引当金の残高がある場合には、当期設定すべき金額との差額を繰り入れる処理を行います(差額補充法)。
【例9—4】
決算において、売上債権の期末残高20,000円に対して、2%の貸倒引当金を設定した。なお、貸倒引当金の残高は100円である。
2.貸倒れの処理
(1)貸倒引当金設定後の貸倒れ
債権に対して貸倒引当金を設定した後(次期以降)において、実際に貸倒れが生じた場合には、貸倒れた債権(売掛金等)を減少させるとともに、設定した貸倒引当金を取り崩します。そして、実際の貸倒額が見積りより大きい場合、つまり貸倒引当金の額を超える貸倒れが生じた場合には、当該超過額を『貸倒損失』(費用)として処理します。
【例9—5】
得意先が倒産し売掛金500円が回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高は300円である。
(2)貸倒引当金設定前の貸倒れ
前述したように、貸倒引当金を設定した後に貸倒れが生じた場合には、貸倒引当金を取り崩す処理を行います。しかし、当期発生した売掛金等が貸倒れた場合のように、貸倒引当金を設定する前に貸倒れが生じた場合には、貸倒れた全額を『貸倒損失』(費用)として処理します。
【例9—6】
得意先が倒産し、当期発生した売掛金500円が回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高は300円である。
解説
当期に発生した売掛金(貸倒引当金を設定していない売掛金)が貸倒れたため、貸倒れた全額を『貸倒損失』(費用)として処理します。
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